備蓄品をそろえよう!子どもとの避難生活で必要なもの~食事&衛生用品編~

「もしもの時のために、備蓄が必要なのは知っているけれど、何をどれくらい用意すればいいのかわからない…」そんなお声をいただくことがあります。

電気もガスも水道も使えないほどの大きな災害に見舞われた時、子どもと避難生活を送るためには、どんな備蓄品が必要なのでしょうか。

子育て防災支援員認定講座」の講師を務めるしのとうさとみさんに、食事と衛生用品の備蓄品についてお話をうかがしました。

3日分の備えが必要
大地震などの災害が起こったときのために、自宅には最低でも3日分の備えをしておく必要があります。災害直後はライフラインの復旧よりも人命救助が優先されるため、復旧までは自分の力で生活を送れるよう備えておかなければいけません。

自宅に3日分の備蓄をオススメする理由は、もう一つあります。
災害後に設置される「避難所」は、子ども(特に乳幼児)と生活をする場所としては、さまざまな困難が予想されるためです。

避難所では、様々な人が一緒に過ごしています。子どもが走り回ったり騒いだりしないよう配慮しなければいけませんし、トイレも数が限られていたり和式だったり…。基本的に大人サイズで用意されていることの多い防災トイレは、子どもの使いやすいものとは限らないのです。
また、赤ちゃんがいれば、授乳やおむつ替え、夜泣きなども気を遣うかもしれません。

火災、倒壊、浸水、土砂崩れなどの危険がなく、安全が確保できるのであれば自宅で過ごす「在宅避難」の方が気持ちは楽だと思います。都市部では住民に対する避難所スペースの確保も難しくなっていて、避難所の人数制限も予想されますので、在宅避難の必要性は高まっていると思います。

食べ慣れたものを備蓄する
電気が止まっても、冷蔵庫のものがすぐに食べられなくなるわけではありません。在宅避難の場合は、長期保存できない冷蔵品・冷凍品を始めに食べ、常温保管可能な保存食は後からに取っておきましょう。

一方で、避難生活の備えとして便利なのは、すぐにそのまま食べられる常温保管可能な食品です。
災害用の高価な保存食を買い揃えるよりも、普段から食べ慣れているもののなかで、常温保存できるものを少し多めにストックしておくようにしましょう。

たとえば、我が家にはレトルトカレー、パスタソース、パスタ、コーンフレーク、缶詰(サバ缶・ツナ缶)、乾物(海苔・海藻・ゴマ)がありました。

もしもの時には、お菓子のストックも役に立ちそうですね。アレルギー対応食や離乳食、ミルクなどが必要な家庭では、特に保存食として少し多めに買い置きをしておくと良いと思います。

保存食をいつもよりも多めに買っておく、それを使って、また買い足す。
このサイクルを「ローリングストック」と呼びます。
日常生活の中で、災害時に必要なものを上手に備蓄できる方法です。


出典:コドモト『親子のための防災ハンドブック』P20

1人2ℓの水を確保しよう
食べ物と同じぐらい重要な「水」の備え。給水所などでお水はもらえるイメージがあるかもしれませんが、発災直後にお水の配給は開始されない可能性があります。

備えとして必要な水の量は、家族構成や家庭の状況によって様々。4人家族の場合、1日に必要な飲み水はどれくらいになるのかを計算してみましょう。

1人最低2ℓの水分×家族の人数×3日=必要な備蓄

すると、4人家族では1日8ℓの水が必要となり、3日分では24ℓ。それに加えて、歯を磨いたり、体を拭いたり洗い物をしたりといった生活用水も必要です。
皆さんも、家族で避難生活を送るために必要な水はどれくらいなのか、備蓄量を計算してみてください。

※飲み水としてペットボトルの水などを備える他に、給水車から水をもらうための容器も準備しておくと安心です。

カセットコンロ&ガスボンベ
お湯を沸かして食材をあたためたり、調理したりするために、カセットコンロとガスボンベが必要です。
ガスボンベは、1本60分程度でガスが切れるそうです。(注:強火で使用した場合。)1本で使える時間が限られるため、3日分の備えとしては買い置きも必要。カセットガスにも使用期限がありますので、保管の際はご注意ください。

トイレ・お風呂の備え
災害後は下水管が破損している可能性があります。破損箇所から汚水が漏れ出したり、万が一にも逆流してくるようなことがあったら大変!! 非常用の簡易トイレを準備して、備えておきましょう。

市販の防災用トイレを家族の人数分買い揃えなくても、普段使っている大きめのゴミ袋を便器にかぶせて使ったり、サイズアウトしたオムツを使うことで代用できます。

便座にビニール袋を被せた状態は滑りやすくなっていますので、子どもは補助便座を利用した方が安心。トイレの対策だけでなく、トイレットペーパー、生理用品なども多めに買い置きして備えておきたいものです。

子どもとの日常生活の中にも、備蓄品のヒントがあります。
たとえば、オムツ用の防臭袋を災害時にトイレのごみ用のにおい袋として使ったり、赤ちゃん用のおしり拭きを多めにストックしておけば、お風呂に入れない時に大人も体を拭くことができますよね。

備蓄品=ちょっと多めの買い置き
「これがなくなったら、日常生活に困るなぁ」と思うものを想像してみてください。
その「なくなったら困るもの」を少し多めに買い置きしておくことが、もしもの時の備えにつながります。
備蓄品の内容や量は家庭によって違っていても、「なくなったら困るもの」を備えておくことは、どの家庭でも共通しています。
皆さんも、ぜひ実践してみてください。

コドモトのYouTubeチャンネルでは、防災についての動画を配信しています。
防災ゆるト〜ク #1 子どもを連れて避難所に行ったら?
防災ゆるト〜ク #2 子育て家庭の備蓄〜食品・衛生用品編〜